読める日の停車駅

千を超える蔵書を少しづつ少しづつ読んでいます。読んではいるものの、元来読んだ内容を忘れやすいので、内容や雑感を記しています。誰かに見て頂いている態で書くのは大変おこがましいので、淡々と記録のような書き方をすることもあります。

2018-01-01から1年間の記事一覧

不条理と狂気と破滅 偶然の音楽

一昨夜の読書会の課題本、P.オースター「偶然の音楽」です。梨のジュースと。 本当によく構成されたストーリーで、見ようで何とでも解釈できます。選書してくださったメンバーの方に感謝する限りです。やはりストーリーの奥底に潜むものは、狂気と破滅。 偶…

私たちは美しい地球(ほし)を守る義務がある。三島由紀夫-美しい星-

20日振りの完読です。 近頃は「すき間時間に何とか読まなければ」という強迫観念めいたものに駆られていたせいか、逆になかなか読み進まずここまで引っ張ったといったところになります。 言わずと知れた三島由紀夫の有名な作品ですね。ハイ。 いつもの流麗な…

三島、J・アーヴィング

久しぶりの並行読み。その日の気分に合わせて、今日はアーヴィングで。

徐々に崩壊してゆく自我。シティ・オヴ・グラス

前回の「ボートの三人男」に続いて読み終えたのは、アメリカのポストモダン派の名手、ポール・オールスターのデビュー作「シティ・オヴ・グラス」です。有名な翻訳家でありアメリカ研究家の柴田元幸氏が、「ガラスの街」で再翻訳していますね。オールスター…

ユーモアと気品に満ちたボートの旅「ボートの三人男」

「ロング・グッド・バイ」に続いて読み終えたのがコレです。 気鬱傾向の三人の英国紳士が、犬一匹を連れてテムズ河流域をボートで渡る物語。 終始ボートの旅に徹し、その気ままな道中にボート漕ぎにまつわるユニークな出来事を、主人公の目線により回想して…

隠れた名作見つけた。アダムよ、おまえはどこにいた

近所のBOOK OFFの108円コーナーにて見つけた本作品。 アダムよ、おまえはどこにいた しかも昭和47年の初版本で、恐らく絶版であり、状態は全体的にまだ美装であります。第二次世界大戦末期が舞台の兵士たちに焦点をあてたストーリーのようです。作者のハイン…

友情のような仄かな感情とお洒落で哀しいお別れ。ロング・グッド・バイ

仕事の昼休みにコツコツと苦節約一ヶ月 遅読のわたしにとって、とてもロングであった本作。 村上春樹氏がチャンドラーから大いに影響を受けていることが文体からよくわかります。正にハードボイルドとはこのことなのだと感じます。個性的な登場人物の面々、…

世界の文学に親しもう ―残念な日々 ディミトリ・フェルフルスト-

来月の課題図書であるチャンドラーの「ロング・グッドバイ」。 まだ半分弱しかよめていませんが、マーロウの洒落た言葉と個性的な登場人物、とても面白いですね。ところで、ここ最近"海外文学にもっと親しもう"というマイブームを作り、この本を買ってみまし…

ジョン・レノン対火星人に続く脅威。優雅で感傷的な日本野球

表紙はファミコンのベースボールなのでしょうか。 朝のひとときが本当に似合いません。野球についての考えれば眠くなるような哲学的な話が始まったかと思えば、たちまち下品な方向に向かう。 思い付きで書いたのか?と思えるようなストーリー展開は、前回、…

優雅な朝のひとときに

昨晩から読みはじめた源ちゃんのこの作品。 優雅な朝の雰囲気に全く似合わず(^^;

雪の練習生レビュー

今月の課題図書に選んでいただいた本作品。 ホッキョクグマの哀愁漂う後ろ姿が何とも言えません。この表紙モデルは、「わたし」?それとも「トスカ」?「クヌート」?ストーリーはこのような感じです。 緩やかでいて、ふわふわとした雲のような表現の数々に、目…

今月の読書会レビュー

美味しいヘーゼルナッツのカフェオレに課題図書です。 何とも言えないアンニュイでおしゃれなストーリーでありました。 次回の課題図書は「浴室」に続いて、私の選書を採用いただきました。 「雪の練習生/多和田葉子」 その次の記念すべき50回目の課題図書…

ジャン=フィリップ・トゥーサン「浴室」レビュー

久しぶりに一冊読めたのであります。 今回は、今月の読書会の課題図書として選書させていただいた「浴室」です。 裏表紙のあらすじが興味をそそります。 あらすじを読めば浴室を中心に物語が展開するように思えますが、実際は浴室に籠っているシーンはほんの…

ワセダ三畳青春期に見る旧きよき清々しき青春

最近は何を読んでも読み疲れすることが多く、ライトに読めるものを間に挟もうと、以前から好きなジャンルであった紀行ものを主に手掛ける、高野秀行氏の私小説「ワセダ三畳青春期」を少し前から読んでいたのであります。 見事に期待どおりの内容で、ユニーク…

掘り出しもの?

午前中の空いた時間を有効に使おうと、掘り出しものを探しに古本屋へ。 探索時間は一時間以内と限定。 店舗に入ったものの、ここ最近は目が肥えてきたせいか、過去に積読→未読のまま売却のパターンもあったため慎重になっているのか、或いは読みたい衝動に駆…

西の魔女が死んだを読んで

昨夜の読書会の課題図書であります。 右の小説「浴室」は次回5月の課題図書で、私が選書させていただきました。 西の魔女が死んだは、植物の温もりと人の温もりが程よく調和した優しい物語です。 子どもの頃のようなピュアな気持ちで読むと一層味が深まるで…

筒井康隆「残像に口紅を」

久しぶりのレビューです。 およそ20日掛けやっと通読しました本作品。 私の好きな筒井康隆先生の作品なのですが、今回はSFとしても異色で、実験的な趣のある作品と感じました。虚構の中で起こる音の消失。 音の消失に連れて消えていく物。消え行く人々。 訥…

お目出たき人

はじめての武者小路実篤の作品であります。 今から100年近くも前に刊行された作品と思えないほど、現代に通じる内容であります。 ある女性に恋した青年の、独りよがりで妄想全開のストーリーに終始します。 刻々と真面目に語られる妄想。間接的にフラれてい…

金閣寺レヴュー

約二週かかってやっと読み終えたのが、この「金閣寺」であります。 美への執着と吃音の激しいコンプレックス、親友の死。師匠への嫌悪感。嫌悪感を抱いている母親から掛けられる過度の期待。 幼い頃から憧れていた金閣寺。そして、美しいものを目の当たりに…

藤枝静男著 空気頭

最近は普段忙しく、ほとんど読書できず(続かず) 日曜に今後読まない文庫本を手放しつつ、昨日届いたのがこの作品。藤枝静男の空気頭。著者は眼科医でもあり小説家でもあったよう。 内容が卓越したSFセンスということで、購入したものであります。S48年製の古…

わたしの読書ノート

昨日一日掛かりで読書ノートを改良してみました。 読書管理サイトの情報が飛んでしまっても、これで十分バックアップ可能かと思います。そうであってほしい。

哲学的であり不条理 -砂の女-

ようやく安部公房の砂の女を読み終えました。終始退廃的な雰囲気が漂う中にも、時代を感じさせない斬新さが伝わります。そして文章一つ一つに無駄がなく哲学的。 昆虫採集に出掛けた男が、逆に砂の中にある家に閉じ込められ、見知らぬ女性と暮らすことを余儀…

安部公房

今、私の中で空前の安部公房ブームであります。今読んでいる「砂の女」のストーリーが実に絶妙で、自分に合っております。

第四十五回読書会

昨夜の読書会も充実しておりました。課題図書は、三島由紀夫「潮騒」私を含め三島作品初めての方が以外にも多く、 本作品に対する清々しさの点で、共通の意見が 出ました。朝ドラのシーンのようであると。やはり、共通の話題で話し合うと言うのは よいことで…

潮騒

若く瑞々しく繊細である一方力強くさを感じるこの作品の文体は、近年の恋愛小説を凌駕するものを感じたのであります。そして、テンポよい展開と清々しさを。 序盤は遠くで空々しく聞こえる潮騒が、穏やかに 変わってゆく美しい変化。 素朴で輝くような島の情…

2月22日

昨年12月、横溝正史の幻の長編小説『雪割草』が発見されたそうであります。この作品は、探偵小説が規制されていた時代、著者が書いた唯一の家庭小説のようです。横溝正史の作品は、私が読書好きになったきっかけでありましたので、本作品が2月22日に書籍発売…

雪国の叙情を感じる

最初の書き出しが印象的ですね。駒子の情熱的な愛情を何処か他人事のように俯瞰していた島村が、駒子と接する度次第にその雪のような冷えた心をほだされ少しずつ溶かされてゆく。 それでもいつもと変わらずクレバーな島村。この作品は、美しい雪国の情景と対…

探求心と物欲

本の専門サイトで探せば探すほど、自分の知らない名作を知る愉しさが、本を読むのと同じぐらいの楽しみであります。その発見は実に無数であり、留まることなく、読みたいと思うとつい購入する(勿論金額を見た上で)癖が出るのであります。後日届いた本と貯ま…

引っ越しの検討

自分の読書管理用に約一年間続けてみた 読書メーターでありますが、使い勝手の点でMediaMarkerに変えてみようと思案中です。何を目的とするかで、もう一度考えてみることに します。

よく練られた波茶滅茶ストーリー

ジョン・レノン対火星人/高橋源一郎読書友達から知ったこの作品。ずっとスポーツうるぐすのコメンテーターとばかり思っていた高橋源一郎氏。 こんなにぶっ飛んで面白い作品を書く作家とは。作品のタイトルと本筋はほとんど関係なし。 飽きさせない、読み戻り…