読める日の停車駅

千を超える蔵書を少しづつ少しづつ読んでいます。読んではいるものの、元来読んだ内容を忘れやすいので、内容や雑感を記しています。誰かに見て頂いている態で書くのは大変おこがましいので、淡々と記録のような書き方をすることもあります。

私たちは美しい地球(ほし)を守る義務がある。三島由紀夫-美しい星-

20日振りの完読です。

近頃は「すき間時間に何とか読まなければ」という強迫観念めいたものに駆られていたせいか、逆になかなか読み進まずここまで引っ張ったといったところになります。

 

言わずと知れた三島由紀夫の有名な作品ですね。ハイ。

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いつもの流麗な文体にSF要素と純文学が融合した上に、著者らしい作風となっています。

宇宙人であることに目覚めた地球在住のある一家が、核兵器を持った人類の滅亡を抑止するためにどうしていくかの話です。

主人公の大杉一家は、「地球人」の愚かな考えを敬遠しながらも、元来人類が兼ね備えている素晴らしい点を知っていることから、核兵器により将来滅びゆく人類を簡単に見捨てることができず、家長の父親を中心に世界平穏を唱える運動に奔走します。

「地球人」を軽蔑している一家も、娘の懐妊など様々な人間的な兆候や気持ちの揺れる姿、互いのことを想い助け合う姿は正に人間そのものです。

 

地球を滅ぼそうとする邪悪な思想を持つ輩(宇宙人)と父親の重一郎との舌戦は、まるで「逆襲のシャア」の終盤、アムロの駆るニューガンダムとシャアのサザビーとの対決中に交わされる「スペースノイド」と「地球人」について繰り広げられた論戦を観ているようでありました。

 

宇宙とは、政治・文明・思想何なのか...。

 

三島要素がぎっしり詰まったこの作品を是非読んでみられるのもよいと思います。

 

美しい星 (新潮文庫)

美しい星 (新潮文庫)