潮騒
若く瑞々しく繊細である一方力強くさを感じるこの作品の文体は、近年の恋愛小説を凌駕するものを感じたのであります。
そして、テンポよい展開と清々しさを。
序盤は遠くで空々しく聞こえる潮騒が、穏やかに
変わってゆく美しい変化。
素朴で輝くような島の情景と、いきいきとした人達。それらの繊細な表現がすべての文章を活かしています。
そう。文が活きているのであります。
出来すぎたハッピーエンドは余り好きではありませんが、訪れるべくして訪れ、祝福に包まれた本作品のハッピーエンドは心から良かったなと思えるのであります。終わり方も、新治と初枝の今後が幸せでありますようにと願えるような。
初めて触れた三島文学。
他の作品も追々読んでみたくなりました。