読める日の停車駅

千を超える蔵書を少しづつ少しづつ読んでいます。読んではいるものの、元来読んだ内容を忘れやすいので、内容や雑感を記しています。誰かに見て頂いている態で書くのは大変おこがましいので、淡々と記録のような書き方をすることもあります。

お目出たき人

はじめての武者小路実篤の作品であります。
今から100年近くも前に刊行された作品と思えないほど、現代に通じる内容であります。
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ある女性に恋した青年の、独りよがりで妄想全開のストーリーに終始します。
刻々と真面目に語られる妄想。

間接的にフラれているのに関わらず、ポジティブに(都合のいいように?)解釈し、また間接的にアタックする諦めの悪さ。

かと言って、彼女と会話したこともない上、彼女についてもほとんど知らず、敢えて彼女に会いに行くも(学校から出てくるのを偶然を装って通りすぎるだけ)、数年振りに偶然居合わせ同じ道筋をしばらく歩くも、告白もせず焦れったいのです。

悲壮感があるかと言うとそうでもなく、いつも自分に都合のよい解釈に置き換えるお目出たい精神は、
見習う部分もあるように思えるのであります。

真面目な思い込みで何年も時間を棒に降ってしまう主人公は少し可哀想と思うものの、本人がそれで幸せであればそれでいいのかと思ってしまったりするのであります。

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