華麗なる翻弄「血の収穫」ハメット
かつて推理小説にハードボイルドスタイルを確立した偉大な米国作家ダシール・ハメットの傑作のひとつ「血の収穫」について綴りたいと思う。
講談社文庫S53.4.15 1刷
ちなみに本作は複数翻訳されており、自分なりのリサーチの結果、翻訳内容・カバー画のインパクトの点でこちらの講談社文庫版を入手した。
血の収穫
ギャングが我が物顔で蔓延り、汚職・縄張り争いにまみれ無法地帯となった鉱山町パーソンビル。(通称:ポイゾンビル)
❝この町には大掃除が必要だ。❞
嘘・裏切りと銃弾の雨あられの中、死の危険にたじろきもせず立ち向かう主人公のタフガイ、コンチネンタル・オプがならず者達を華麗に翻弄し、大掃除を実行する。
オプが街中をせわしなく動き回り、ギャング同士の闘争を巧みにけしかけ自滅を誘う様が最大の見どころである。
オプ(おれ)の視点で無駄なく淡々とした語り口で繰り広げられる究極のハードボイルドに、田中小実晶氏の翻訳が冴えている。
こちらは新潮文庫版
併訳の多さに、本作が世代を超えて愛されている作品であることが窺える。
早川書房からは「赤い収穫」で出版されている。