読める日の停車駅

千を超える蔵書を少しづつ少しづつ読んでいます。読んではいるものの、元来読んだ内容を忘れやすいので、内容や雑感を記しています。誰かに見て頂いている態で書くのは大変おこがましいので、淡々と記録のような書き方をすることもあります。

親の見守る愛情がひしひしと伝わる作品・宮沢賢治「貝の火」

宮澤賢治・人と藝術 他遺稿童話集」より
宮澤賢治の短編童話「貝の火

昭和十年頃の抜取りのようなので、著者天逝のおよそ二年後に遺稿として誌面を飾ったと思われる。

命を助けた礼に"貝の火"という宝玉を授かってからというもの、親の忠告も聞かず、傍若無人に振る舞い権力を振りかざす子ウサギのホモイ。

力の使い間違い、他の力にばかり頼っていては、そのうち限界を迎えること。
最後までひた向きに子を案じ続ける親の優しさ。
父親の温かさに、同じく子の父親である自分も心打たれるものがあった。

賢治氏の作品には時代を越えて学ぶ教訓がある。