国木田独歩の短編集「酒中日記」より「牛肉と馬鈴薯」
今は無き明治倶楽部にその夜は珍しく灯っている明かり。
其処に集った七人の紳士が、温かいストーブの前で、牛肉を"理想"、馬鈴薯(じゃがいも)を"現実"に見立て、誰ともなく大いに自らの主義・思想・経験から得たものを延々と語り明かす。
話はその参加者の一人、愁いを纏った男、岡本の体験談から徐々にシリアス且つ一層哲学的な熱を帯びて行き、彼の唯一無二の願について参加者一同が期待に胸を膨らませる。
岡本達ての願は果たして…
こんな知的な談義を延々と語り明かす夜はとても理想的である。