久しぶりのレビューです。
およそ20日掛けやっと通読しました本作品。
私の好きな筒井康隆先生の作品なのですが、今回はSFとしても異色で、実験的な趣のある作品と感じました。
虚構の中で起こる音の消失。
音の消失に連れて消えていく物。消え行く人々。
訥々とした虚無感が訪れてきます。
最後は畳み掛けるような言葉遊びの応酬と虚構の瓦解。
当時の筆者は、この作品のあと暫く断筆することになったようですが、正にそれを予見させるような作風でありました。
作品を楽しめたというよりは、些か通俗的でない虚構世界の中で起こる出来事を、やっとの思いで通過したといった感じです。