読書ノオト・カフカの「審判」第七章
裁判制度についての平坦な会話が延々と続くので、退屈な章ではあるが、流石カフカのアイロニーが溢れている。
第七章 弁護士 工場主 画家
Kは前章の弁護士から、裁判官と割と面識のある画家を紹介され、早速その画家の住まいを訪ねる。
画家は裁判所自称顧問であり、Kに無罪についての訴え方の原則を説き始めるが、Kは彼の部屋が蒸し暑くて堪らない。
一通り話を聴き終え、部屋を辞退しようとするが、野次馬子供たちに出口を遮られ、已む無く画家のベッドの向こうにある扉から出ようとすると、そこもまた裁判事務所であったため面食らってしまう。
画家はKの無罪主張への協力を申し出、帰り際自分の旧作画を幾つかKに持たせる。(報酬は次回その画代で)
Kとしては甚だ迷惑な土産物であったが、画家が職場に訪ねて来た場合、追い返す材料にしようとその画を持ち帰る。
この章の真面目な無罪主張の方法についての説明には、裁判官の抱き込みやPRなど、どのようにでも事態を操作出来る当時の裁判制度の実態に作者自身、苦言を呈していたのかもしれない。
そしてまた主人公を廻り道をさせ、真実から遠ざけようとする手法。「城」でもこの廻り道手法に乗せられてしまった。