宮沢賢治氏は、動物や自然を使った人間社会の表現が非常に巧みである。
写真はたてしな書房の宮沢賢治復刻版短編集「猫の事務所」より
登場するのはすべて猫であるが、そのまま人間社会の縮図と見ていいといえる。
仕事も周囲への気遣いも申し分ないのに、住んでいる環境や見た目・やっかみで、同僚から不遇な扱いを受ける"かま猫"がひとり悩み、人知れず涙を流す姿はとても不憫で心に訴えるものがある。
最後には救われた気持ちになるが、まず人権尊重できないものが社会の公器であらざるべからずということではないかと私は感じる。
人間社会でもよくあることであり、その中で自分はどうあるべきかと教えられる。