読める日の停車駅

千を超える蔵書を少しづつ少しづつ読んでいます。読んではいるものの、元来読んだ内容を忘れやすいので、内容や雑感を記しています。誰かに見て頂いている態で書くのは大変おこがましいので、淡々と記録のような書き方をすることもあります。

物悲しくもゾッとする昔話「リップ・ヴァン・ウィンクル」

気立てがよくのんびり屋のリップ・ヴァン・ウィンクルが、口煩い妻から逃れ、気晴らしの狩猟に出掛けた山で出会った奇妙な一団との酒宴。

ついつい飲み過ぎた後、気付くと今しがた居た筈の場所は変わり果て、延いては自分の住まいに家族、周囲の人々、政治思想に至るまで見知らぬものに変わっていた…

19世紀の米国作家ワシントン・アーヴィングが口碑、民間伝承を元に綴った短編集「スケッチ・ブック」より「リップ・ヴァン・ウィンクル
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家庭のかかあ天下という名の王政政治と、国の王政政治の終演を掛け合わせたアイロニーと物悲しさ。
お伽噺のような出来事への少しゾッとする言い伝え。

近頃の乱読・並読気分に乗って、二年ほど本棚で眠らせていた本書を気まぐれに手に取れたことがよかったと思えるほど面白い話であった。