読書ノオト
わたしの思う読書の種類には、一度に通読できるものと、時間をかけないと通読できないものとの大きく二つに大別できると思っている。 その違いは、簡単に言うと内容の軽重によるものと思っているのであるが、今回通読したフレドリック・ブラウンのSF作品「73…
主役の私(フェリックス)は幼い頃から親兄弟に愛されず、特に母親に愛されず、色々な学校に転々と預けられる生活をする。 もちろんそこでも、金銭面の援助や衣食に関してもほとんど受けられず、不当な少年時代を送ることとなる。 幾ら母親の気に止まる事をし…
そういう落ちだったのか…と思わせるのは、ビアスの「いのちの半ばに」に収録されている「アウル・クリーク橋の一事件」。 ビアスの作品のうちで有名なもののひとつのようである。 話はアウル・クリーク橋の欄干にて絞首刑を目前に控えた男の、命がけの逃走劇…
冒頭からドキドキさせられる。 屋外で両手を胸に当てたまま死んでいる沢山の人に群がるハゲタカの群れ。 そして、遺体の上を跨ぎながら、この惨状の目撃者2人の目の前を横切った人物描写の恐ろしさ。 どうもこの町に墜ちた米国の衛星が関与しているという疑…
おそらくは今後平凡な道を歩むであろう、青年ディヴィッド・スウォンは、これから番頭としてはたらくことになった親類の職場を目指している。 彼は通りで乗合馬車を拾おうとするが、あまりの暑さと疲労で、湧き水がある手近な楓の木陰でぐっすり寝込んでしま…
第十章 結末 ある日の夜9時頃、シルクハットの男二人がKの自宅を訪ねてくる。 Kはその男たちに両脇を固められながら、何処ともなく歩を進める。途中橋の欄干から見える、かつてKが昼寝していた長閑な川のほとりの情景が、これまでの殺伐とした空気をすべて帳…
物語も大詰めを迎えるかと思いきや、一向に見えてこないKの罪業。 この章の前半は久しぶりに物語ぽくなっており、読むのに退屈しない。第九章 伽藍 Kはこのところ銀行仕事において、接待ばかり任されるようになり、足許が覚束ない調子である。 今回も支店長…
裁判制度についての平坦な会話が延々と続くので、退屈な章ではあるが、流石カフカのアイロニーが溢れている。第七章 弁護士 工場主 画家 Kは前章の弁護士から、裁判官と割と面識のある画家を紹介され、早速その画家の住まいを訪ねる。 画家は裁判所自称顧問…
第五章 鞭を鳴らす男 ある日Kが職場の倉庫からうめき声がするので、扉を開けてみると、第一章に出てきた監視人のフランツとヴィレムが、一人の笞吏に鞭打たれている。 何でもKの逮捕の日、下着を横領したのとKの朝食を無断で食べた罪らしい。 次の日もKは同…
こうやってまとめていると、後でも分かりやすく思い出しやすい。 【審判】 第一章 逮捕 主人公ヨゼフ・K、起き抜けに自身の部屋で突然の逮捕(とは言え拘束はされない) 隣人女性ピュルストナー留守の間、彼女の部屋で、謎の男たちに囲まれ謎の陳述が始まる。 …